泥炭地盤において橋台を設置した場合、橋台背面部の盛土荷重により、泥炭地盤に側方流動が生じ、橋台下部の杭基礎を変形させてしまうことがある。このため、道路橋示方書Ⅳ下部構造編では偏荷重を受ける基礎について側方移動の判定値(I値)が1.2以上の場合、側方流動対策を講ずることとしている。また、同編には過大な杭基礎の水平変位は有害な残留変位の原因となるという理由から、杭径1500mm以下の杭基礎において、15mmを許容水平変位量とする基準を示している。橋台背面における一般的な側方流動対策には深層混合処理工法がある。しかし、その側方流動の抑止効果について、定量的に示したものは無く、合理的な改良柱体の配置やその設計法に関する知見は現時点ではほとんど見られない。一方、泥炭性軟弱地盤対策工マニュアルには過去の模型実験から、すべり安全率Fs≧1.5とした場合、橋台に影響を与えるような杭の変状は生じないとしている。すべり安全率Fs≧1.5にするためには改良率(1本あたりの改良柱体の面積比)、改良強度(改良柱体の強度)などを設定する必要があるが、その合理的な設計法がない。そこで、本報告では、深層混合処理工法の改良率に着目し、その側方流動の抑止効果について有限要素法(3次元弾塑性解析)により定量的評価を行った検討について述べる。 |