霧発生に伴う視界不良は、円滑な交通流を阻害すると共に、交通事故を誘発する。北海道の国道における交通事故を道路形状別に見ると、カーブ区間での致死率が高くなっている。よって、視界不良条件下での道路線形の認知性を高めることが求められている。これに対し、道路管理者は、様々な再帰反射型や自発光型の道路付属物を設置し、よりよい運転環境を提供している。最近、道路付属物に応用される材料や発光素子の開発が進み、それらの性能が日進月歩している。かし、視認性の高い視線誘導施設や標識が乱立する場合も見られる。乱立の原因の一つに、設置基準のあいまい性が挙げられる。道路付属物に関する道路標識設置基準・同解説や視線誘導標設置基準・同解説の中で、視界不良時についてほとんど触れられていない。加えて、これらの設置基準は昭和60年前後に見直されたまま、約20年間改訂されていない。本背景を踏まえ、視界不良時における道路付属物の視認性を整理し、秩序立てることが必要とされている。筆者らは、自然の霧発生条件下で、どのような標識や視線誘導施設の視認性がどの程度になるかについて把握するために、平成16年夏期に釧路管内白糠町の町道において各種道路付属物(再帰反射型、自発光型)を模擬設置し、視認性評価の基礎実験を実施した。本稿では、本視認性評価基礎実験並びに国道44号における実車走行実験の結果を紹介すると共に、北海道の濃霧発生地帯に求められる視界不良対策の検討ポイントについて報告する。 |