北海道の日本海沿岸に建設された鉄筋コンクリート構造物は、塩害による著しい損傷を受けているものが多い。一般国道231号浜益区において供用されている第2床丹橋は、塩害と凍害に起因する鉄筋の腐食膨張に伴うかぶりコンクリート片の剥離・剥落の発生に加え、大型活荷重対応のためのせん断補強が急務となっていた。本橋は、5主桁構成の単純T型RC桁橋であり、上フランジが連続した多主桁構造となっているため、連続繊維(FRP) シート等の補強材を桁上部で閉合して巻付補強することが困難である。そのため、シートをU字型に貼り付けて、シート端部をアンカー等で定着する方法が用いられる場合もあるが、合理的な設計法は未だ確立されるに至っていないのが現状である。一方、著者らはこれまでアラミド製FRP(AFRP)メッシュを配置し、ポリビニルアルコール(PVA)短繊維混入コンクリートを吹付ける補修補強工法を開発し、そのせん断補強効果に関する実験的な検討を行ってきた。しかしながら、この種の工法に関する実験データは未だ十分ではなく、断面形状やAFRPメッシュの保証耐力が異なる場合のせん断補強効果に関する検討は行われていない。このような背景より、本研究では、提案の工法を適用した場合のせん断補強設計法を確立することを目的として、断面寸法やAFRPメッシュの保証耐力を変化させて補強したRC梁に関する静載荷実験を行った。 また、本工法を実橋に適用するため、実験結果を基にせん断耐力評価法に関する検討を行うとともに、第2床丹橋を想定した施工試験を実施してその施工性を確認した。さらに、これらの検討結果に基づいて第2床丹橋の補修補強工事を実施し、本工法の適用性について検討を行った。 |