十勝川の河口から約38km地点までの堤防は、昭和63年度より丘陵堤整備に着手し、平成16年度には、ほぼ一連でH.W.L堤が完成し、さらに堤防の完成化に向けた整備を進めているところである。一方、維持管理として堤防法面除草を行っており、刈取草は無償提供するなどコスト縮減を図ってきているが、十勝川下流域全体で年間2億円程度を費やしている。堤防の整備により創出された河川空間の有効利用法として堤防法面の採草地・放牧地としての利用があげられる。この様な利用法は十勝地方の基盤産業である農畜産業に貢献できるだけでなく、より一層の除草コスト縮減が期待される。また、雄大な十勝地方らしい景観の創出も可能となる。本検討は、堤防の有効活用方策である放牧地利用の可能性について、役場、JA等の地元農業関係機関の協力を得ながら、平成17年度から平成19年度までの3ヶ年において調査及び検討を行うものである。全体の計画としては、平成17年度に試験放牧等の基礎的な実験から現況を把握、平成18年度及び19年度はその結果を踏まえた上での実験を行い、実際の利用方法を検討した上で、堤防法面の採草地・放牧地利用の具体的な方向性を示す予定である。本稿では、平成17年度の現地実験の調査結果を中心に報告する。 |