平成16年11月に供用開始となった豊富バイパスは一般国道40号のバイパスであり、道北地方の道路網に高速化の一歩を印すものとして、都市間交通を高速で結ぶ利便性や地域産業の活性化、冬期の交通障害解消による高次医療確保の観点から期待されている。特に冬期交通障害のうち吹雪対策として既存林を生かした防雪林の活用や視程障害対策のため盛土法面の緩勾配化などのアイデアや設計が取り入れられており、その効果は、供用開始後の平成17年2月~3月に発生した地吹雪による国道40号の通行止めの際に交通を安全に確保し、救急搬送や物流などの影響を最小限に抑えたことからも高く評価されている。地吹雪の他にも冬期交通障害の要因としては雪崩の発生が考えられ、その対策として吊柵が採用されるケースが多い。この場合、積雪深より高い吊柵が上下の雪を縁切ることによって、融雪期には最下段の柵下からの雪崩の発生を促す場合がある。そこで、豊富バイパスでは、切土法面からの雪崩対策の必要性を主として道路構造と気象状況からの検討により、全層雪崩対策として柵高1mの低柵高雪崩予防柵を採用し、積雪や気象等の調査によってその効果を確認したところである。結果、全層雪崩対策には積雪深よりも低い柵の方が雪崩防止効果は大きく、景観にも調和し経済的であると推察された。本報告は、豊富バイパスにおける全層雪崩対策としての低柵高雪崩予防柵の検証結果を報告するものである。 |