積雪寒冷地である北海道においては、冬期に積雪や気温の低下によって雪氷路面が出現する。特に、1990年代初頭にスパイクタイヤの使用が禁止されてからは、つるつる路面と呼ばれる非常に滑りやすい路面が多く見られるようになった。凍結したすべりやすい路面の出現によって自動車の発進が遅れ、制動距離が長くなるなど走行に支障を来し、渋滞や冬型事故の増加といった負の影響も現れている。このため、道路管理者は、様々な凍結路面対策を講じて冬期道路交通機能の確保に努めている。中でも凍結防止剤とすべり止め材の散布は、恒常的に行われている。北海道の国道を管理する北海道開発局における平成16年度の凍結防止剤とすべり止め材の散布量は、約6万3千トン(凍結防止剤)、5万9千トン(すべり止め材)に達し、この10年間で散布量は6.0倍(凍結防止剤)、2.7倍(すべり止め材)となっている。凍結防止剤は、路面が凍結する前に散布し(事前散布)、路面凍結の発生を防ぐのが望ましい散布方法であるが、それを実行できるようにするためには、路面凍結発生の予測手法を確立することが必要である。既往研究からも、路面温度は日射の影響を受ける他、土工部や橋梁部といった道路構造によって大きく異なることが分かっており、当研究室では、冬期路面管理の一層の効率化に資するため、昨年度から札幌新道をフィールドとして、面温度予測モデルの構築等に取り組んでいる。本研究は、冬期路面状態の予測情報を利用した冬期路面管理の高度化を目指すため、気象の変動、道路構造、交通量等を踏まえた路面凍結予測手法の構築を目的としている。具体的には、気象観測等のデータ収集及び熱収支モデル等を用いた路面温度予測モデルの基礎的モデルの構築について取り組んでおり、本稿ではその概要、過年度の結果や課題、今年度の取り組み内容について紹介する。 |