本調査研究は、昭和45年度より継続調査研究が行なわれている指定研究課題で、今年度は第4年目に当り、過去3年間の調査研究が下記に示すような動的な水文特性に重点が置かれてきた。1.流況特性、2.降水分布と観測網、3.逓減特性と増水特性、4.市街部における地下水と河道内水収支、5.取水および排水ヵ所調査(汚濁減調査)、6.水質調査本年度は、以上の調査研究を基礎にして、河川維持流量という観点から、静的河川流況の把握に主眼を置いて調査研究を進めた。河川の流水は、河川の機能的役割にとどまらず、人間の精神的な面に至るまで広範な影響を与えるものであり、前年度までの水文現象に重点を置いた河川流況の動的な把握から、水系流域内の社会活動も踏まえて、広い視野から静的な観察を進め、河川維持流量を定めるための基礎的な調査研究を行なった。また、近年の都市化の進展にともなう水需要の増大は、河川表流水のみならず地下水の利用も盛んで、この結果、地下水の汚染や涸渇問題、およびこれ等による地盤沈下等の二次的な悪影響の問題、さらに地下水の低下は、河川からの地下涵養水の増加等、河川維持流量の問題にまで波及することから、地下水の挙動について重点的に調査研究を継続した。 |