この報告は、石狩川水系の幌向川および加茂川(一級河川石狩川水系幌向川筋清真布川支流加茂川河道延長1,855m政令2条7項区間計画流量100t/s)の築堤工事における基盤処理工法(サンドコンパクションパイル工法)に関するものであり、主としてサンドコンパクションパイル(以下パイルと略称する)の打設にともなう周辺地盤の変動(変位)を調査し、その影響範囲、軽減対策について報告するものである。一般に泥炭性軟弱地盤では、基盤処理工事にともなう周辺地盤の変動が大きく、広範囲に及ぶことが知られており、しばしば問題となる。幌向川築堤工事においては用地が広く問題はないが、加茂川築堤工事おいては用地境界に沿って一部の区間に農業用水路(コルゲイトパイプ)が並行に設置されており、基盤処理にともなう地盤の変動が農業用水路に悪影響を及ぼすことが予想された。そのため、パイル打設にともなう周辺地盤の変動を詳しく調査し、その影響範囲および軽減対策を検討し、これらの結果から農業用水路への支障を防止することに成功した。泥炭性軟弱地盤の場合、側方への流動は粘土地盤よりも顕著であり、パイル打設にともなう周辺地盤の変動については定性的にも定量的にも明確ではなく、未解決の要素が多い。加茂川築堤工事の場合、農業用水路が用地境界に沿って設置されているため、パイル打設にともなう周辺地盤の変動に関する既知資料を収集し、幌向川築堤工事箇所において詳細な調査、観測を行ない、変位量の把握、軽減対策の検討を行ない、加茂川築堤工事での変位量を推定した。また、本工事に先立ち、農業用水路の設置されていない区間を試験工区とし、実際に周辺地盤の変動を調査、測定し、これらの結果をもとに設置区間において軽減対策工を行ない、農業用水路への支障を防止することに成功したものである。下記に工事の概要を述べ、周辺地盤の変動についての調査結果と軽減対策に関して報告し、今後の同様な問題に対する指針となれば幸いである。 |