河川流量の推定は、一般的に降雨より適当な流出解析手法を用いて計算されるのが常識とされている。河川の改修計画を立案する場合、まず、計画高水流量を所定の安全度(降雨の年超過確立を用いる)で計算しなければならない。計画高水流量の計算に当り、大きな問題点として①流量観測資料を持たない場合が多い、②流量観測を実施しているが洪水毎にその流出特性が異なること、などがあげられる。また、1級水系の洪水予報指定河川、あるいは治水制禦ダムにおいて河川流量の予測が義務付けられている。いづれにせよ、治水は、一度ならず数度にわたり、河川流量の計算から始まることは既に周知のとおりである。これら、計算(予測)流量の精度が、河川改修計画における効果を左右し、過大な流量予測は最大投資として、過少な流量予測は洪水氾濫につながり、大きな国家的損失を招く。また、洪水予報による予測流量の不安定は、民生の不安定につながるだけだけに、高い精度の流量予測が要求されるのが当然のことである。したがって、今日まで上記①、②の問題、あるいは自然条件下で種々の流出特性に対応する解析方法が大きく要求されている事に鑑み、筆者らは本邦で最も多く用いられている貯留関数法を用いた流出形態のモデル化について検討した結果、大きな成果を得たものである。 |