くいおよびウェルなど構造物基礎の水平力に対する安定性を検討する場合に、横方向地盤反力係数(K値)の算定が必要となる。現在、横方向地盤反力係数(K値)を求める方法としては、大別して三法があげられる。すなわち、ボーリング孔を利用し、その孔壁に側圧を作用させて求める方法、施工された基礎に対して水平載荷試験を実施して荷重と変位の関係より、逆算して求める方法および標準貫入試験(N値)のような原位置調査試験結果から推定して求める方法などである。これらの三方法のうち、くいの水平載荷試験から求める方法は、最も妥当な設計K値を得ることができるが、試験に要する費用と労力、実施時期など諸制約があるので実際上設計前に試験を行なうことは困難であることなどにより、一般には比較的簡便な他の二法によって設計K値を推定することが多い。しかしK値は基礎地盤の強度特性と変形係数のほかに、地盤の土層構成の不均一さ、あるいは基礎の形状およびくいの曲げ剛性にも関係があり、K値の算定方法については、数多くの研究や提案がなされているにもかかわらず未解明な点が多く確立されていない。当研究室においては、これまでに主に軟弱地盤に施工された橋梁基礎ぐいに対し水平載荷試験を実施すると共に同一地盤に対して孔内水平載荷試験によるK値測定を行なってきた。本報文では、そのK値測定結果と同一現場で実施した土質調査結果(N値、q c)、およびくいの水平載荷試験結果からY,L,Changの式を用いて求めた逆算K値とを対比させ検討を加えた。 |