我が国の自動車交通は、増加の一途をたどっているが、これにともなって起こる交通事故も激増している。この交通事故の中には、路面のすべりに関係しているものも少なくない。このすべりによる事故を減少させ、自動車走行の安全を確保するための対策を得るため、土木試験所道路研究室では、昭和42年に走行試験車を製作し、道内各地で、表層路面および雪氷路面のすべり摩擦係数の測定を実施し「路面とタイヤ間のすべり抵抗値」に関する研究を行なってきた。北海道開発局では、これらのすべり試験の結果なども考慮し、昭和45年から、従来のアスファルト舗装の表層であるアスファルトモルタルおよびトペカにかわる新しい表層として、すべり抵抗値が高く、そのバラツキがい小さい、密粒式アスファルトコンクリートを採用している。土木試験所では、各建設部管内で施工されるアスファルト舗装について、代表的な箇所ですべり抵抗値の測定を行なっている。これによると、最近の密粒式アスファルトコンクリートの縦すべり摩擦係数の中には、極端に小さいものがあり、その中には雪氷路面と同じ位の値を示すものもある。これらについては、早急に原因を調査し、その対策を講ずる必要がある。アスファルト舗装路面のすべり抵抗値に影響を及ぼす要因として、アスファルト含有量、骨材の性状および粒度、施工方法、施工時期、供用日数などがある。土木試験所では、比較的影響の大きいと思われる要因を見いだすため、昭和48年に施工された密粒式アスファルトコンクリートについて、建設部別に縦すべり摩擦係数を測定した。本文はこの測定結果に基づき、アスファルト量および合材粒度とすべり抵抗値との関係について、検討しとりまとめたものである。 |