北海道の築堤は未施工区間が多く不連続な状況で、破堤による災害もなかったが、近年築堤の連続区間が増加して来たため、これらの築堤の安全性を再検討することが治水上の重要な問題となってきた。とくに北海道には20万haにおよぶ泥炭地が主要河川の流域に分布しており、泥炭地に築造された築堤や蛇行部のショートカット箇所の旧川締切築堤などは弱点となると思われる。この意味において既設築堤についてその安全度をさらに確認することは非常に意義深いことであり、この調査の成果が期待されるものである。一般に河川堤防には種々の安全性を確保することが要求されるが今年度は下記について検討を行った。(1)河川水位が上昇し、浸潤線が発達し、浸透水が裏ノリから流出する時の裏ノリのスベリ破壊に対する安定。(2)河川水位の急降下の際の表ノリ面のスベリ破壊に対する安定。(3)軟弱地盤上の築堤の破壊と沈下に対する安定。(4)堤防のタイプ別の河川水位が上昇し、浸潤線が発達し、浸透水が裏ノリから流出する時の裏ノリのスベリ破壊に対する安定。以上の項目について検討を行なったがまた堤体材料、基盤材料の土質工学的性質をはあくするための検討も行なった。 |