近年における都市域への人口、産業の集中化はこれまでの日本の経済成長の原動力になってきたが、その反面河川に対しては治水、利水、環境面で各種の問題を起している。たとえば、治水面では氾濫区域内への資産の集中化、市街地における内水処理問題など、利水面では水資源の不足、地下水の利用増大にともなう地盤沈下、水資源の有効運用、渇水時における流水の効率的調整など、また、環境面では水質の汚濁、流水の水質管理等があり、流水を総合的に管理する必要にせまられている。建設省河川計画課では、こうした問題に対処するため今年度より技術研究会に、「流水管理システムの研究」を指定課題としてとり上げ現行制度では達成し得ない分野についての新たな行政制度、技術面での提言を行なわんとしている。しかし「流水管理システム」という言葉そのものの定義すら判然とせず、いざ具体的にこの研究に取り組み、システム全体の姿を把握せんとすると、その及ぶ範囲を含めていろいろな考え方があってどうしても十分な方向がみいだされない。以上のことから今年度は、まず、研究の初年度であることから、水管理のイメージをどのように考えるか、現在問題になっている事項を抽出し、それに対する研究の実態等をとりまとめ昭和50年度からの研究テーマとその方針の検討を進めた。今年度取りまとめた成果は、次のとおりである。1.流水管理に関する問題点の検討2.流水管理に関連ある調査成果3.流水管理フローチャートの作成 |