北海道のような寒冷地域においては、道路の築造に当たって凍上対策が必要となる。現在道路の凍上対策として、置換工法が一般に採用されているが、最近では押出し発泡ポリスチレンを用いた断熱工法も徐々に採用されてきている。置換工法を行なう場合、その地区の凍結深さをある程度正確に把握する必要があるが、凍結深さの実測値は限られたごく一部の地域でしか得られていない現状である。凍結深さの実測値が得られない場合には、計算によって凍結深さを推定する訳であるが、凍結深さを熱伝導論に基づく計算によって求める方法は、いくつか提案されている。それらの計算式のいずれにおいても、冬期間の寒さの度合を示す凍結指数が最も重要な因子となっているので、凍結指数をある程度正確にしかも簡便に算出する方法が必要となる。また凍結深さに影響を与える要因としては、凍結指数以外にも土質・地下水位・排水条件・日照条件などがあり、それらの全てが計算式に盛込まれてはいないので、計算値を実際の設計に使用する場合には、計算値の実測値に対する近似度を検討することが必要である。さらに最近では押出し発泡ポリスチレンを用いた断熱工法が普及し始めているので、その場合の凍結深さも計算によって求め得るかどうか、また求め得るとした場合どの程度の凍結侵入防止効果があるのかについても検討してみる必要がある。本報告は、以上述べた点について、全道の各開発建設部の協力を得て、昭和46年度から48年度の3年間にわたる継続調査で得た成果と、舗装研究室が美々試験道路で得た成果をまとめたものである。 |