一般に我々が道路の計画・調査・設計をする場合、平面図・縦断図・横断図・定規図などの二次元線形の組み合わせにより検討するが、これらの調和を考慮した立体的な線形を設計することは容易ではない。まして、設計完成時の地形との調和、景観の変化などを調査することは、これらの図面のみではほとんど不可能である。それゆえ、何らかの視覚的手段が必要となるが、透視図を利用するのも一つの方法である。しかし、このような目的に使用する透視図にしても、一、二枚ならともかく、ある区間全長にわたり作成するとなれば、大量の数値計算、座標変換計算をともない、しかも図上への展開も非常に複雑となり、人手では処理しきれない。したがって、従来は建築設計など美観を問題とする分野でのみ利用されていたが、電子計算機および自動作図機の普及にともない、実用性のある透視図が容易にかつ迅速に作図されるようになり、土木設計にも利用されている。道路透視図は、線形の調和、走行性、視距など技術的問題の解析のみならず、周辺の景観との調和のよしあし、道路からながめる景色の調査など、周辺の環境に与える視覚的影響の検討にも応用したいのであるが、すべて機械により描かれた図では、道路とその周辺の地形を実現的に表わすのに十分とはいえない。本報告は、写真と透視図を組み合わせた合成画を作成することによりこの不十分な点を補い、完成時の景観を表現しようとするものである。 |