現在、コンクリート構造物の設計体系は、従来の仕様規定型から性能規定型へと移行段階にあり、今後新たに建設あるいは更新されるコンクリート構造物は、100年を単位とした長期的な耐久性を確保することが要求されている。特に、北海道のような積雪寒冷地のコンクリート構造物は、厳しい気象環境や使用環境により凍害や塩害などを複合的に受けるため、その耐久性を長期的に確保することが、ライフサイクルコスト縮減の観点からも大変重要となる。長期耐久性を確保する方策としては、コンクリート内部に塩分や水分などの劣化因子が侵入しないように、コンクリート表面に被覆材や含浸材を塗布する方法や、劣化因子が侵入した場合でも内部の鉄筋が錆びないようにエポキシ樹脂塗装鉄筋を使用する方法などが挙げられる。しかし、コンクリート自体の品質を向上させることが最も基本的な考え方であり、コンクリート自体の長期的な耐久性を確保すれば、特別な対策を講じる必要がなくなり、ライフサイクルコストを効率的に縮減できる。本研究では、ライフサイクルコストの効率的な縮減を目的として、改良セメントの使用によるコンクリート自体の高耐久化について検討を行い、種々の物性および耐久性試験結果から改良セメントコンクリートの実構造物への適用性について検証した。 |