北海道のような積雪寒冷地域では、冬期の降雪や気温の低下により雪氷路面が出現する。特に、1990年代初頭にスパイクタイヤの使用が規制されてから、非常にすべりやすい路面(つるつる路面)が頻繁に発生するようになり、冬期渋滞や冬型事故といった交通問題の原因となっている。このような中、道路管理者は冬期の路面凍結対策として凍結防止剤やすべり止め材を恒常的に散布しているが、これらの散布量は年々増加傾向にあり、北海道の国道(実延長約6,500km)における散布量は年間でそれぞれ約6万トンに達している。凍結防止剤は、路面の凍結が発生する前に散布するのが望ましい。そのため、凍結が発生する時間や区間を事前に把握(予測)することが必要である。以上の課題を踏まえ、著者らは効果的・効率的な冬期道路マネジメントに資する「冬期路面管理支援システム」の設計・構築に取り組んでいる。当該システムは、気象予報、熱収支法等を用いた冬期路面予測から構成されており、これらの情報提供によって道路管理者の作業実施等の判断を支援することを目的としている。冬期路面管理支援システムの構築にあたっては、システムの利用者である道路管理者・維持管理請負業者との意見交換等により情報提供項目の選定やインターフェースの改善に取り組んでいる。本稿では、当該システムの概要、構築の進展状況及び今後の予定について報告する。 |