2000年の有珠山噴火後、新ルートとして建設されている一般国道230号の青葉トンネルでは、有珠山再噴火に伴う覆工コンクリートの剥落防止対策のため、DIIパターン以下の区間については耐食性に優れる有機系短繊維を混入して施工している。また、1999年に頻発したコンクリート片の剥落事故以来、コンクリートの経年劣化に伴う剥落防止への関心が高まってきており、通常の新設トンネルの他高架橋等のRC/PC構造物に対しても短繊維混入によるコンクリート片の剥落防止対策が施される事例が増加している。現時点では、日本高速道路株式会社(NEXCO、旧日本道路公団 JH)のトンネル施工管理要領 繊維補強覆工コンクリート編(以後、トンネル施工要領)の規準が最も多く適用されており、青葉トンネルにおいても本要領に準拠して施工を実施している。一方、今後第3者被害の防止のため、必要に応じて短繊維混入によるコンクリート片の剥落防止対策が適用される事例が増加することを想定すると、各構造物の周辺環境や要求性能に応じたより合理的な短繊維材料の選定法や混入率の決定法を確立することが重要であるものと考えられる。このような観点より、本研究では、適切な短繊維材料やその混入率を検討するため、短繊維の種類や混入率を変化させた場合のコンクリートの施工性および力学特性に関する試験を行い、経済性も含めて各配合の性能を比較検討した。 |