現在、取り壊しコンクリート塊の大半は再生骨材としてリサイクルされ、主に路盤材などの道路用骨材に利用されている。しかし、高度経済成長期に大量に建設されたコンクリート構造物の老朽化に伴い、取り壊しコンクリート塊の発生量は今後増加することが予測されている。その一方で、取り壊しコンクリート塊の利用先である道路用骨材の需要は今後高い水準で望めないことから、コンクリート廃棄量の増加が懸念されている。このため、新たなリサイクル技術として、取り壊しコンクリートから製造される再生骨材をコンクリート用骨材として利用する技術の確立が急務とされている。現在、コンクリート用再生骨材の普及に向けJ I S等の規格の整備が進められている。当研究所でも、再生骨材を用いたコンクリート(再生骨材コンクリート)をコンクリート構造物に適用するため、積雪寒冷地である北海道において重要とされる凍結融解抵抗性に重点をおいた研究を進めてきた。これまでの研究成果については、平成14年4月に(社)日本コンクリート工学協会北海道支部より発行された「プレキャスト無筋コンクリート用再生粗骨材の品質規格(案)」に反映されている。今後は再生骨材コンクリートを、鉄筋コンクリート構造物へ利用するための規格の制定が望まれている。しかし、北海道地区のコンクリート構造物は、冬期に散布される塩化物系凍結防止剤の影響により、沿岸部・海岸部だけでなく、内陸部に設置されている場合でも多量の塩分を含有している可能性があるため、これらを取り壊して製造される再生骨材にも、塩分が残存している可能性がある。このため、再生骨材中に含まれる塩分が、コンクリート中の鉄筋腐食に及ぼす影響について検討する必要がある。よって本試験では、再生粗骨材に含まれる塩化物イオンが鉄筋腐食に及ぼす影響について検証するため、再生骨材コンクリートを使用した鉄筋コンクリート供試体中の鉄筋腐食の有無と腐食の原因について検討した結果を述べる。 |