バイオガスプラントは家畜糞尿等を主原料とし、バイオマス資源を嫌気発酵させて、取扱い易い液肥と再生可能エネルギ- を産出する施設で、デンマ-クやドイツなどの国々では大型化した施設が普及している。1999年の「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」の制定や2002年の「バイオマスニッポン総合戦略」の閣議決定などの追い風を受け、2000年以降、北海道でも約40基のバイオガスプラントが建設された。その殆どが個別型であり補助事業施設や大学などの試験研究用が大部分であり、経済性も含めた運営が順調なバイオガスプラントは数少ないとされる。当所では2000-2004年度まで、北海道内の農業試験場や地元参加農家等の協力も得て、共同利用型バイオガスプラントの実証試験「積雪寒冷地における環境・資源循環プロジェクト」を実施し、寒冷で、北海道の乳牛飼養実態に即した固形糞尿も処理対象とする共同利用型バイオガスプラントに関わる技術的課題を解明した。一方、運営と経費については改善の余地が残り、乳牛糞尿の処理だけでは運営が難しいことも明らかにした。そこで、2005年度からは、①副資材を処理するための受入時の技術的課題、②副資材を多く投入した場合の発酵やエネルギ- 収支に及ぼす影響、③副資材受入に伴う処理料収入の運営に対する効果、④機器の耐久性、⑤生成する消化液の連用効果等を解明し、地域バイオマスの循環処理施設としての実用運転の確率をめざしている。過年度の研究成果を基礎に2005年度では実用運転に関する多くの知見を得ることができたので、その内容を報告する。 |