北海道における鋼橋では、部材端部、連結部、下フランジ下面など、特定の部位の塗膜は他の部位に比べて著しく劣化するため、早期劣化部分と他の部分の劣化格差が生じている。このため、早期劣化部分については、これらの劣化格差を考慮した上で適切に維持管理を施し、鋼材の断面欠損など橋の機能に与える影響を小さくする必要があった。すなわち、従来の塗替え塗装方法については、作業足場などの経済性から、部分的な塗膜劣化を許容し「全面塗替え」による方法が一般的であったが、重防食塗装系の場合、一般塗装系に比べ「全面塗替え」間隔が長くなることから、劣化格差がさらに広がる可能性がある。このため、早期劣化部分を適切に維持管理する手法として早期劣化部分のみの塗替えを行う「部分塗替え」や早期劣化部分の劣化速度を遅くするための増し塗りなどの「早期劣化対策」の必要性が高まるものと考えられる。本文では、塗替え方法検討の一基礎資料とすべく北海道開発局が管理する鋼橋のうち、重防食塗装系である塗装系の鋼橋について部位毎の塗膜劣化調査を実施し、その調査結果を用いて行った劣化予測、及び、その劣化予測に基づき、今年度行った部分塗替え及び早期劣化対策の費用対効果シミュレーションや試験施工の結果などについて報告する。 |