消波型高基混成堤は、通常の混成堤よりも高い基礎マウンドとスリット形式の直立部により高い消波能力を実現した構造形式である。高い基礎マウンド上において砕波を促進させることによって波のエネルギーを減衰させるとともに、高マウンドゆえに生じる衝撃波力を円柱形式のスリット部によって緩和することができる。また、水深が浅く広いマウンド部分は藻場育成に適しており、現地調査により良好な海藻群落が形成されていることが二ノ宮ら(2003)によって報告されている。本構造形式は北海道森港新川地区の防波護岸として全国で初めて採用されており、その現地施工については友田ら(2004)が報告しているところである。この構造形式を設計する上で必要な水理特性についてはこれまで実験的な検討がいくつか行われており、その特性は概ね明らかにされている。例えば、波力特性については下迫ら(2003)が実験的な検討から作用する波圧の位相差を考慮した設計波圧分布を提案しており、越波特性については木村ら(1999)が大型断面水路を用いた水理模型実験を実施して護岸天端高さを決定するための越波流量算定法を提案している。本報告では、森港において実施した波力特性および越波特性に関する現地観測から消波型高基混成堤の水理特性および提案されている設計法との比較について報告するものである。 |