「多自然川づくり」(従前の呼称は「多自然型川づくり」であるが、本研究では一連「多自然川づくり」と称す)は平成2年11月から本格的な運用が始まり、現在及び今後の河川工事の実施にあたっては多自然川づくりの考え方を適用しており、河川整備基本方針・整備計画を策定するにあたっても環境に配慮した整備をすることを定めている。「多自然川づくり」の取り組みのは、護岸がコンクリート張主体で施行されていた頃、生態系に及ぼす影響が懸念され、その対策としてパイロット的にモデル事業として、実施されたのが始まりである。北海道開発局での多自然川づくりの取り組みは、「A・G・S( アクア・グリーン・ストラテジー)全体計画」において、モデル事業を始まりとしてこれまで取り組んできている。「A・G・S( アクア・グリーン・ストラテジー) 全体計画」は水辺空間の環境に関する基本計画を具体化し、縦断的につながる地区相互や背後地を含む縦断的な生態系や社会特性の連続が整合するように計画されたものである。その後、平成9年に河川法が改正され「治水・利水」に「環境」が加えられたことに端を発し、平成14年に自然再生推進法の制定、平成16年に景観法の制定といった法整備の流れにおいて「多自然川づくり」を取り囲む環境は活発になり、環境に関する技術の向上、知見の蓄積がされるようになった。そこで、国土交通省は、これまでの多自然川づくりの現状を検証し、今後の方向性について検討を行うために、平成17年9月に「多自然型川づくり」レビュー委員会を設置し、平成18年5月、委員会からの提言「多自然川づくりへの展開」を踏まえ、平成18年10月に「多自然川づくり基本指針」を策定した。 |