平成15年7月、全国画一的な道路づくりへの批判に対応するべく道路構造令が一部改正された。また、舗装の性能規定への移行(「舗装の構造に関する技術基準(平成13年3月)」、コスト構造改革による道路構造の最適化(平成15年3月)が進められてきた。これらを踏まえ、北海道開発局では、道路の多様な役割と機能に十分配慮しながら地域に応じた弾力的な道路構造令の運用を図るため、従前の道路構造基準を定めていた「道路工事設計基準」を平成16年4月に廃止した。一方「道路構造令の解説と運用(平成16年2月)」に示された「地域の裁量による基準の弾力的運用」 という観点から、これまで蓄積されてきた北海道特有の積雪寒冷地の道路技術や構造規格の考え方の導入について、「道路構造適正化ワーキング」を設置して北海道の道路構造の考え方を検討した。その結果、現時点における北海道に適した道路構造を考える上での参考資料である「北海道における道路構造の考え方(案)」(以後、「考え方(案)」)及び「道路構造インスピレーションブック2005」としてとりまとめ、平成17年3月に各開発建設部に通知し「考え方(案)」については、平成18年9月に第1回の改訂を行ったところである。本指定課題のテーマは、現在行われつつある北海道の地域特性を考慮した道路整備の考え方とその検討状況並びに取り組み事例について報告するものである。平成17年度は、北海道における道路構造基準に関する最近の経緯、基本的な道路構造決定の考え方、地域特性を考慮した道路整備の事例を示すとともに実際に現場で事業として取り組んでいる事例を小樽開発建設部管内の一般国道276号「岩内共和道路」と稚内開発建設部管内の一般国道「更喜苫内防雪」について紹介した。本稿は、平成18年9月に行った「考え方(案)」第1回改訂の概要を紹介するとともに、この改訂において継続の課題となっている「落ちこぼれ幅」の幅員の検証及び北海道スタンダードの1つとして今後の普及が期待される「2+1車線」道路について、これまでの知見を報告するものである。 |