アスファルトの劣化機構および劣化度推定に関する基礎的実験は、紫外線照射、および加熱による人為的条件を与えて、それら因子の影響について、二、三の実験結果が得られている。アスファルトの熱および光劣化においては、アスファルト中の揮発成分の蒸発や、ある組成物の分解なども考えられるが、あまりにも過激な条件でなければ、支配的なのは、空気中の酸素による酸化によってアスファルト中の化学組成の割合が変わる、すなわち、ペトローレンアスファルテンに変化する反応であり、それによって二次的に、粘度、脆化点などの物理的性質が変化するものと思われる。本実験に用いたワフラ原油基ストレート・アスファルトについて、C=2.4×10^-6sec^-1、a=2.5×10^-6sec^-1mm^-1であり、アスファルトの種類によって、たいして大きくは変らないであろう。大体以上のようなことが知られたが、本報においては、屋外で実際にbinderとして使用されているアスファルト施工物中のアスファルトの劣化が、これら基礎的実験結果といかに結びつくかについて、二級国道札幌-虻田線、簾舞地内道路試験鋪装区間からの切取り供試体について、アスファルト回収試験を行ない、その経年変化との関連性について、二、三の考察を加え報告する。 |