戦後本道の開発は年とともに推進されてきたが、道北・道東地方には未開発の部分が多く、特に道北地方は、農業的開発が遅れ、多くの未開発原野が残されている。これは自然的環境条件の劣悪性によるものである。気象的制約から農業経営形態としては主畜農業によらざるを得ない。したがってまず飼料作物の増産が重要な条件になってくる。従来、一般的傾向として飼料作物の大部分を高価な濃厚飼料に依存し畜産物のコスト高になやんでいたきらいがあったが、海外の例からみても牧草を主体とした粗飼料のみでも十分に生産をあげ得ることは明らかである。牧草を主体とするためには相当の経営面積を必要とするが、この点牧草は比較的地形、土壤を選ばないから未開の丘陵地でも泥炭原野でも大いに草地として開発の可能性がある。特に道北地帯にはこの点で開発の余地が残されており、泥炭地は早くから草地改良試験が着手されていたが、丘陵地ではほとんど手が加えられていない状態である。その丘陵地帯の多くは笹密生の原野であり、その開墾方式も傾斜地のため困難がともなっている。このため開発局では、昭和35年度に天塩郡幌延町に試験地を選定し、昭和36年度から圃場を設置して草地造成方式に関する試験を開始したが、その1、2年目の成績がほぼまとまったのでここに報告する。 |