近年水文観測機器の進歩、通信連絡施設の発達ならびに整備にともない、洪水時における水文資料はそのしゅう集時間が短縮され、また局地水象をキャッチすることが可能なほどに多くの資料が速報されている。また資料は総雨量システムから時間雨量システムがとられ得るところまで、進展してきている。一方河川災害に対する防災対策は組織的にまた機能的にも年々大きな発展をみており、治水対策に即応した有機的な活動がとられるようになってきている。このことは河川における洪水予知の面では治水ダム群の水系一貫した有機的な管理、内水貯留対策などを講じ得るHydrograghの予測が望まれるようになってきたことを示していると思われる。この期に鑑み、石狩川の洪水波形の予測を迅速、かつ的確に遂行するために、低速型、電子計算機(アナロク型)による予報化を計った。石狩川の洪水予測の方法を経年的に概視すると、昭和30年~34年においては、きわめて複雑な水象である洪水流出の一特性のみから予測する水位相関法がとられ、昭和35年~37年では洪水流を河道で貯留する流れてとして考えた。貯留関数法によって、hydrographの予測へと進展させてきた。貯留関数法による予知は方法論的に妥当な方法であることが昭和36年~37年洪水によって立証されたので、その煩雑な予測計算を電子計算機を利用することによって迅速化を計ったものである。ここでは電気的な説明は別にゆづり、石狩川の洪水予測の電子計算機による模擬方法を述べる。 |