昭和32年度第1報より毎冬当時の緊急解明機種1車を測定対象車としてとりあげ、その都度、本報文集に発表済である。測定対象車の推移がそのまま、当局除雪機械の変遷と進歩を物語っている。第1報10tダンプトラック6×6・Vプラオサイド付・三菱W11に始まり、5tダンプトラック4×4・Vプラオ付、いすずTS341、7tダンプトラック4×4・一文字プラオサイド付・日野ZH10、ロータリー除雪車・三菱WTR、第4報と継続してきた。本第5報は前年度第4報でのデータ不足、ならびに不備の点を補足したものである。WTRは軟い雪から硬い雪まで、また吹溜りの突破、拡幅などに非常に便利で凡用性があり、その性能も他の国産機が試作の域を脱しない数年前の時期に唯一の安定した機械であった。しかしのその排雪速度についてはさらに高速を要望し、その原因を雪の掻込み装置であるオーガの消費動力が大きいためと考え、除雪速度を上げようとすると容易にオーバロードになる主原因がオーガにあり、切削抵抗が非常に大きいためであると推定していた。このためオーガ回転数を約300rpmから200rpmまで試験的に下げてみたが、見るべき効果がなかった。また同時期に第4報の測定を行ない、そのデータからこの推定は誤りであることを確認した。測定値によればその動力消費は思ったより小さく、むしろオーガ回転数はできるだけ上げ、掻込む方がよいと結論した。第5報の試験車WTRは、これにしたがいオーガ回転数を354rpmに上げたものであり、またブロア直径も100mmφ大きくなっている。WTRは国産ロータリー除雪車としては最も歴史が古く、従来当局ロータリー車の主力となっていた。本報告書は第4報に引続き、排雪時消費動力をオーガ・ブロアに分け測定し、その特質を動力消費の面から基本的に明確にした。昭和38年度からはWTRの製造は中止されたが、その排雪機構はショベルへのアタッタメント式である。三菱RU20ロータリー除雪車にそのまま継続されているので、参考資料としての価値は変らないものと考え、とりまとめたものである。 |