この調査は1級国道39号線網走市地内呼人湖畔間における泥炭および粘性土の極軟弱地盤の道路改良工事にともなって行なっているものである。本国道は数年前より改良がすすめられその一部は舗装や改良が実施されているが本地域は今だに未改良区間である。1級国道の急速なる舗装化にともない本区間も急速に改良する必要にせまられている。しかし本区間は泥炭ならびに粘性土(ヘドロ)層よりなるきわめて軟弱な地盤である。この粘性土層はベーンテストの結果に示すように、いたるところ極軟弱であり、本区間ほぼ1.5kmにわたり、この地盤上を通っている。この道路は過去30年間毎年盛土が行なわれ、補修と沈下をくりかえしつつ今日に至ったもので現在でも年間10cmから20cm程度の沈下があり現地の住民は通称おばけ道路とよんでいる程である。しかも融雪期などには湖の水位が上昇して冠水の危険にさらされるのが毎年の例である。この結果から見て網走湖の変遷により残された粘性土堆積物が凝灰質砂岩を基盤として14~15mお発達しており地表部0.80m程度は低位泥炭層であることがわかり、地域一帯が冠水している。本路線は同区域を縦貫する唯一の交通機関であり、この地形から見ても路線変更の余地なく、しかも仮道設備も困難で現在幅員6.5mを絶対に維持し交通を確保しなければならない悪条件がある。このような諸悪条件の中でバイブロ、コンポーザーパイル工法を採用したが、通常パイブロコンポーザーパイル工法とは直径40cm程度の特殊な中空管に振動機をつけ、その振動により管を地中に打込み管を通じて砂を孔底におくるとともに管を抜きつつその砂を振動しめ固めて強固な砂柱(いわゆるコンポーザーパイル)を泥炭および粘性土中に作るものであって、このような砂柱を泥炭および粘性土中に一定間隔(ピッチ)をもち多数打設することによって砂柱のまわりの軟弱な粘性土を圧密強化する一方、強固な砂柱があたかも鉄筋コンクリートにおける鉄筋のように粘性土を補強して地盤の安定化をはかるものであって通常60~80cm直径の砂柱パイルを今までの例から見ると砂質土においては1.80~2.20m間隔に、粘性土に対しては1.20~1.60m間隔に打設して地層の改良を行いm2当り10~20ton程度の地層改良を目標ににしているようである。これからもわかるように地層の調査資料から見てほとんどパイルが砂柱状にならぬ地質とか、あるいは地層があまりにも悪るく目標とする支持力のえがたい地域ではまったく使用されていない。当工事区間もベーン、テストから考えると地耐力がほとんど、ゼロにひとしい。しかも粘土層が14~15mまで発達しているため基盤までの打込みができず(パイルの限界長12m)2~3m程度の粘土層が残り砂柱状打込みもほとんど不可能であることが推察される。しかしこれら現地の複雑な条件から考えるとこの工法の選択も非常に難しい。 |