近年道路整備事業の促進によって、道路の改良、舗装の伸長はめざましく、また自動車産業の発達と自動車の性能の向上により自動車の台数は急激に増加し、舗装道路における自動車交通量の増加と走行速度の高速化はいちじるしいものがある。これにともない、自動車のスリップによる事故もまた急激に多くなり、運転者に対しては交通法規の厳守、とくに走行速度、車輛間隔、などと交通道徳の尊重がのぞまれ、一方道路建設の上からは、延長の長い急勾配区間や、曲線区間などには、すべり止めを考慮した舗装工種の選定が望まれるようになってきた。北海道においても、数年前から一部の現場ですべり舗装が試みられ、いろいろの工種について検討が加えられてきたが、昭和38年度の開発局道路設計基準で、すべり止め舗装を採用する基準が定められ、道内各地の現場で、すべり止め舗装が行なわれるようになった。現在北海道では舗装工種としてアスファルト舗装が広く採用されている。アスファルト舗装にすべり止めを考慮した工種として、最近いろいろな提案がされているが、これらは大別すると次の三つの考え方に分けることができる。(1)舗装表面に砕石などの粗材料を埋めこみ、またははりつけて粗面を作る方法(2)舗装表面を機械的に凹凸加工をして粗面をつくる方法(3)特殊な加工をしないで合材自体で粗面を作る方法このうち(3)の方法は混合式すべり止め舗装と呼ばれているもので、この合材としては一般に、細粒分の少ないアスファルトコンクリート、または混合式マカダムが多く用いられている。この場合、これらの合材の耐水性が問題となるが、北海道ではこのほかに冬期間のタイヤチェーンによるスリヘリ抵抗性などの面からも検討しなければならない。土木試験所道路研究室では昭和38年度において、網走開発建設部をはじめ各開発建設部の協力を得て、混合式すべり止め舗装用合材の配合設計を行なったが、本報告はその考え方と、配合比決定のための室内実験から得た。2、3の知見について述べたものである。 |