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 明渠排水の施工年数経過と粗度係数の変化について

作成年度 1964年度
論文名 明渠排水の施工年数経過と粗度係数の変化について
論文名(和訳)
論文副題 昭和38年度(Ⅴ)
発表会 昭和38年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和38年度技術研究発表会
発表年月日 1964/10/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
石井重蔵
抄録
水路の断面決定に際し、いくつかの要素の中で、最も重要なものとして挙げられるものに粗度係数がある。水路における水流の動因は重力であり、その運動が落差に支配されることは当然であるが、その条件として水深、流量、水面巾、及び水路底、水路側法の粗度によって条件づけられるものである。われわれが水理計算に使用しているManning公式は式の形が簡単で、しかも実用上、便利であるから最もよく用いている。しかし、粗度係数nの値を正確に選定する方法が、ない現在nを決定するのが、最大の難点といえよう。結局はすべて、知り得ない流れの抵抗を、粗度係数と表現している。しかし、この公式の中で数値的には、nの要素が最も重大であり、公式の結果は、一に粗度係数にかかってくるわけである。したがって個人的な判断により、まちまちな数値が出るが、われわれは現在粗度係数の適正な決定の手段として、一般的に次のような方法によっている。すなわち1)粗度係数の値に影響する要素を理解して、推定値をその水路の最も近い値に近ずけるよう努力する。2)各々水路の状態を知り、表から代表的な数値を決定する。3)粗度係数の既知の代表的水路状態を知る。4)粗度の測定資料にもとづき、解析的手段によってnを決定する。等である。ここで現在用いられている方法としては、表によって代表値を決める方法であるが、その表も、各種各様で数値の巾も広く、しかも分類の方法が必ずしもわれわれのほしいものとはいえない場合が多い。そこで、われわれが必要とするところの代表的数値を知る必要が生じてくるわけで、いくつかの実際の値を整理して設計に役立たせるために本調査を計画した次第である。一般的に粗度係数は単一の値をもつものの様に考えられているようであるが、現実には、nの値は常に変化し、多くの要素に左右されるもので、しかも、それらの要素は互に関連し、単一のものとして働くものではなく、同一水路の同一箇所でも異るものであるということに注意しなければならない。したがって、現在明渠排水で土水路の粗度係数n=0.030を設計に用いているが、この数値が適正な値であるということの裏付はなされたことがなく、また一律に決定することも適当でないように考える。故に水路のおかれている位置的条件、地域的条件など、異った条件のもとにおける数種類の実測値を観測整理することにより、その地域及び位置的条件のもとの適確な粗度係数が、判定し得るわけである。また、掘削した水路が、年数を経過すると共に水路の粗度がどのような形で変化していくかを知ることにより、護岸の必要性、水路補修の適正な時期等の判定資料となり得るわけで、この調査で明渠排水の粗度係数を決定し設計の精度と経済性を確立したいものと考えるのである。
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