北海道における大規模建築工事は工期の短縮と建物価値の早期発動・及び資本回転の短操から冬期間にスケルトンのコンクリート打設が各所に見受けられるようになってきた。それらの多くは商業建築が主なもので、充分採算的計算の上に実施されている。本工事の場合は比較的複雑性をもった研究施設である為、基本設計に時間を要し、発注したのは昭和39年8月29日で年間施工可能時期の後半に入っていた。その為計画段階から冬期にコンクリートを打設しなければならない事は充分考慮し、その施工計画も当初から検討していたものである。これまで当部においても何件かの寒中コンクリート打設を実施してきたが、極めて小規模なものか、或いは単純性をもった工事であった。しかも大半が12月中に打設を完了したもので冬期間全般を通じ、9,000㎡の面積と、4,300m3のコンクリート量を要する工事は初めてのケースである。又昭和39年度初めて実施したD0D方式によるコソクリートの調合設計で打設する本格的工事として注目されるものである。本工事においては商業建築に見られる大仕掛けな養生方法は予算の都合で実現は困難であり、決して充分と言える養生方法ではなかったが逆に言えは、最低の養生方法で初期の成果を得る事が可能であると言う1つの立証をなしうるべく努力したものである。こうした条件の下において実施したものであり、現在なお施工途中にある為、各種のデーターも全部蒐集出来なかったが、中間報告するものである。 |