近年、大きな切取りが盛んに行なわれるようになるにつれて、ノリ面の維持には多大の労力と費用を要するようになり、以前のようにノリ面を裸のまま放置することはできなくなってきている。ノリ面保護工には、いくつかの工法が挙げられるが、道路の切土箇所の危害防止と美観とを兼ねて最もよく用いられるのは植生工法と考えられる。この調査試験は、2級国道札幌虻田線、札幌市廉舞地内板割沢の切土箇所における3種の植生工法について実施したものである。3種の工法とは、現在、北海道で播種工の中で最もよく用いられていると考えられる植生盤工、SM式工法および種子吹付工である。この試験工では、対象とした地山のうちで、植物の生育に最も有利と考えられる部分に種子吹付工を、次に良い条件の部分に植生盤を、前2者の工法を適用できないと考えられる最も条件の悪い部分にSM式工法をそれぞれ実施した。したがって、この試験の目的は、ここに採用した播種工の効果の比較ではなく、それぞれの地山条件に対する工法の効果を、個々に検討しようとしたものである。本文は、これらの異なった地山条件に対して実施した3工法について、土砂の崩落、雨水の表面流出 芝草の繁茂状況、冬期間における凍結深度などについて行なった観測結果の中間報告である。 |