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 隧道工事における岩石屑と、廃棄場附近小沼の水質異状化の問題点

作成年度 1965年度
論文名 隧道工事における岩石屑と、廃棄場附近小沼の水質異状化の問題点
論文名(和訳)
論文副題 昭和39年度(16)
発表会 昭和39年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和39年度技術研究発表会
発表年月日 1965/12/20
所属研究室/機関名 著者名(英名)
菱川幸雄
抄録
大沼湖群の主たる湖沼は大沼、小沼、蓴菜沼であるが、小沼の南西隅にあるいわゆる大沼学園の前面附近に廃棄された岩石屑のため、37年8月頃において水質の異状化(酸性)を示した。これは主として小沼南西端の大沼隧道工事(1級国道5号線)の掘削により廃棄された岩石屑であるが、この附近の地層を形成する石英粗面岩中にたまたま硫黄を含んでいる事に基因することが判った。硫黄粒の点在する砕け易い岩石屑はなめてみても判明する程度に硫酸酸性となっていた。大沼隧道掘削を始めたのは昭和35年12月であって、それから以後の岩石屑を沼岸に廃棄したのであるが、この幾分かが水面下に崩落堆積し始めた。37年8月上旬の集水豪雨(約100粍)によって廃棄岩石屑中の硫黄の酸化物が硫酸となり、漸次沼水中に溶散したのである。地元の言によれば「青色の水が小沼南西隅の学園前面附近の隧道屑拾場から東北方向へ流れ出している」というのであった。概測によるとこの青色水帯は巾およそ30~40mで学園前面附近の最深所を東西によぎり約800m延びていた。1930年の調査によるとこの附近の夏季プランクトン量は100立中に190~390万箇であって珪藻が主群のため帯緑灰色を呈して混濁し、その透明度も漸く20~30cmであった。(37年の調査でも異状水帯以外は約30cmであった)。しかるにこの青色水帯は浮遊のプランクトンが殆んど除かれ、沼底の木片までも透視出来るくらい、透明であって幾分の乳白色を帯びた青色を呈していた。これは沼岸の丘上から眺めても判明出来た。ここで問題を発生した経過について述べると、北海道水産研究所五十嵐彦仁博士が「大野平野かん排事業に伴なう大沼湖群水質と漁業障害の問題」について調査を実施した折、第1回調査(37年8月)の時この水質の酸化を発見したものである。即ち、かん排事業と沼内漁業障害の綜合調査中に発見された突発的な事態ともみなされる。そこでこの調査に基づき、直ちに我々としても原因を究明すると共に土木試験所応用理化学研究室に水質試験を依頼し、この結果から含硫黄屑の酸化防除のための防禦処置を講じたのである。
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