道路研究室においては、冬季にはタイヤチエンに対するスリヘリ抵抗性が大きく、夏季には所要の安定度を確保するような、寒地に適した表層用アスファルト合材の配合設計について実験的な研究を続けてきた。この実験は、フィラー・ビチューメンが合材の結合材であるという考え方に基づいて行なっているもので、この考え方に基づいて配合設計した表層用合材を、実際の道路に舗設して行なった現場検証試験においても、良好な結果が得られている。同一のアスファルトにフィラーとして石灰石粉、フライアッシュ、キルンダスト、オパールサンドおよび火山灰をいろいろの配合割合で混入したフィラー・ビチューメンおよび同一の石灰石粉に種類の異なったアスファルトをいろいろの配合割合で混入したフィラー・ビチューメンの物理的性状とそれが合材の安定度、およびスリヘリ抵抗性に与える影響については、すでに報告したとおりである。一般にアスファルトの感温性については、実用時における合材そのものの性能を左右する最も重要な因子と考えられ、研究もかなり進められているがフィラー・ビチューメンの感温性についての研究は、まだあまり行なわれていない。本報告は、フィラー、およびアスファルトの種類と、配合割合の異なるフィラー・ビチューメンの物理的性状と感温性状の関係について検討を加え、さらに、これらのフィラー・ビチューメンを結合材としたアスファルト・モルタルの感温性と、フィラー・ビチューメンの物理的性状、および感温性状の関係についても検討を加えたものである。 |