北海道北部の海岸沿いには広大な洪積台地が発達しており、道北農業にとってきわめて重要な地域となっているが、この台地上には、凝灰質粘土を母材とするち密な土層が2m内外の厚さで堆積している。この凝灰質粘土層は、粗孔隙の発達が微弱で難透水性を呈するため、寒冷湿潤な気候条件とあい伴って、台地土攘の生成過程を強く規制しており、農業立地として多くの欠陥をもつ土攘を分布させる要因になっている。このような台地土壌に対しあたえられた〝重粘土〟という名称、あるいは〝重粘、堅密で‥‥〝といった記述の技術的内容はかならずしも明確ではないが、これらの台地土壌の農業立地としての弱点がその物理性にあることをよくしめしている。したがって、台地土壌の改良工法を考える場合、その物理的特性を的確に把握しておくことは第-に重要なことであるが、さらに一歩前進して、そのように劣悪な物理性がいかなる土壌生成作用の結果として生じ、また今後の土壌の進化をどのように規制しているかを知ることは適切な改良計画を樹立するうえできわめて重要なことである。このような認識にたってはじめて、個々の土壌断面におけるいろいろな物理的属性が有機的つながりをもって理解され、自然の土攘進化の過程を人為的に調整しようとする試みである土地改良が、どのようにおこなわれるべきであるかを的確に把握できるからである。重粘土とは重粘土と呼ばれて、特殊土攘の一環として一括されてきた土攘は生成、分類学的に多くの不明瞭な点があった。この点について、松野(1964)により詳細な分類学的な検討がなされ、"重粘土"の概念のなかにはいろいろな生成的土攘型が含まれていることが明らかにされた。粘土質の母材に由来する成帯性土壌および成帯内性土壌のいくつかが含まれていることが明らかにされた。 |