ポンプ場の設計にあたっては、まづ、主ポンプ、原動機類の型式、諸元を決定し、次に機場の大きさ、基礎構造、送水管を設計するが、とくに軟弱地盤を基礎とするところでは安全で、かつ経済的な工法を選定することは重要な課題である。本文は大夕張かんがい排水事業における、幌向揚水機場の基礎工として鋼管杭を使用したので、その設計と施工実績について述べるが、鋼管杭基礎は決して、特種な工法ではない。ことに軟弱層が厚く支持層が深い場合でも、施工の安全性と確実性、さらに工期の短縮という点では、最もすぐれた工法の一つであると考えられる。本機場は、丸一年の工期(S40.5.8~41.5.15)で基礎工、機場上屋を施工するものでポンプの据付ならびに運転まで実施しなければならないという客観状勢に置かれたため工程上基礎工2ケ月以上費すことは工事の完成に支障をきたすため一般的な基礎工法としての、ケーソン基礎、ウェル基礎は、基礎が深くなるにつれ、いちじるしく工費が高くなる一方、工期の短縮という点からも本機場には不適である。また特種な工法としてのサンドドレーン工法による予圧密工法あるいはウェルポイントを使用したプレローデ時間工法等、いわゆる圧密沈下により強度を期待する工法は、工費はともかく、圧密沈下にかなりの期待を要するので、この工法も採用し得ない工法であったので本機場では鋼管パイルを使用した。 |