我が国において、ケーソンが防波堤の本体として使われてから、すでに半世紀になるが、近年になって開発された異形塊を用いる傾斜堤を除いては、現在なお、ケーソン堤が、その大宗をなしていることは、大方の認めるところである。ケーソンが使われるようになった初期においては、中詰コンクリート(配合1:5:10又は、中詰コンクリート)が用いられたが、近年工費の低廉、工期の短諸、材料の入手容易、技術の進歩、その他の観点により、ケーソン内に石材を投入して、その空隙に砂を填充する。いわゆる「砂石填充」や砂のみの投入による「砂填次」が広く用いられるようになった。これらの間には、夫々利害得矢はあるが、その目的とするところはいずれも、堤体重合を大にして、波のエネルギーに低抗しようとするものである。しかしながら砂石填充については、従来、最も多く用いられている工法ではあるが、使用材料や、投入方法により、結果に大きな差異があるものと予想されたところから、開発局の港湾関係仕様書の9-6(5)に「砂石填充はできるだけ密度が大になるように、砂石を交互に填充しなければならない」と、規定されているが、具体的な方法については、何等、ふれていない。そこで、従来、我々が実施してきた方法により、果して満足な結果が得られるかどうか、又、どうすれば最良の結果をもたらすのか、又、経済的に且つ迅速に、最良の結果が得られるのか検討して見て、今後の設計、施工の参考としたいと考え、調査を実施してきたが、種々の条件が交錯し、その上、気象的、時間的制約を受けて、調査も思うに任かせず、今回のところは、調査の方向を見い出すにすぎなかった事を、予め容赦いただきたい。 |