我国の農業は家族単位の小規模な人、畜力経営をもってすすめられてきたため、近代の他産業が大規模な機械化により極めて高い生産性を有するのに比し、いちぢるしい立遅れをみせている。このような農業を、近代産業として自立させ生産を向上させるには、機械化による経営規模の拡大をしなければならない。しかし、我国の農地は人、畜力に見合った小区画で、一戸当り面積も狭小なため、機械導入の前提として圃場整備が必要である。近年農業近代化の施策として構造改善事業、圃場整備事業などが取りあげられはじめたが、機械導入のための圃場条件、経営型態の基礎的な調査研究は少なく、したがって基準もない。農林省ではこれらの問題を解決するために、全国的に農場整備事業関係調査を実施している。この調査はモデル圃場調査と一般調査に分けられ、前者は理想的と考えられる圃場条件に整備した農地の中で、農家に実際の経営を行なわせて基礎資料をとるものであり、後者は既に何らかの基盤整備が行なわれ現地農家の実態を調査し基礎資料をとるものである。このうち、開発局では41年度は畑地モデル圃場調査1地区、一般調査畑2地区、水田1地区を実施した。これらの調査の内容は(1)機械の稼働量と適正配置(2)圃場の区画の形状、大きさ、傾斜、水分と機械の作業能率(3)農道の配置と構造(4)農地の排水方法(5)区画の大型化と土壤浸食(6)農地、作物の集団化と機械の作業効率(7)営農改善などで、各地区のこれらの資料を総合的に解析して機械化のための圃場整備の基準を作成しようとするもので、指導および取まとめは農業土木学会に設けられたモデル圃場企画委員会があたっている。開発局で担当している地区の調査のうちから、得られた成果を順次第2報以下で発表しようとするもので、ここに第1報として調査の概要を予報するものである。 |