北海道に分布する約20万haの泥炭地のうち、約7万haは未懇地として残されている。その大半は天北、根釧地方の気候冷涼な地帯にあるため、将来の土地利用も草地に限られているおり、低廉で簡易かつ合理的な草地造成法の確立が望まれている。昭和36年からサロベツ原野のほぼ中央部おいて、無客土草生による酪農経営を目的としたサロベツ実験農場が開設されているが、そこにおける草地造成法は、次のようなものである。火入れ-伐開、伐根-小排水堀削-切断排水堀削-土改資材撒布-表層処理-鎮圧-施肥播種-鎮圧この造成方法のうち泥炭地に特異な切断排水、表層処理、その他の特徴について、若干ふれてみたい。イ 切断排水従来、サロベツ実験農場開設当時はナイフ型の切断機を使用していたが、現在は小型トレンチャー『アースマン』による堀削を行なっている。これは豆腐に包丁を入れると内部の水が浸出してくる原理と同じである。50m間隔に小排水を入れ、これに直角に5m間隔に切断排水を入れている。ロ 表層処理従来のプラウによる反転耕起方式をやめ、ロータベーターによる表層攪拌方式をとつている。普通2回掛けである。ハ その他この造成法の最大の特徴は従来の一般的な土地改良の方法であった客土を省略し、無客土で草を作つていることである。これは昭和31~37年の草生試験により無客土でも終了に大きな産がないと言う結論にもとずくものである。この種草地の利用についても若干の問題は残しているが、放牧は可能、機械による牧草収穫も排水が十分になされていれば可能であるなどの良効な成績をおさめている。無客土草生は、泥炭特有の疎膨性から発芽初期の鎮圧効果は高いと考えられるが、従来この種のデーターがあまりない。開発局では、昭和42年度に草地改良基礎調査として、泥炭地における鎮圧工法を天北農試、農地開発機械公団の協力のもとに実施し、若干の成果を得たので、ここにそれを発表するものである。 |