耕地造成工事の第1段階である抜根の工法として、従来の火薬併用の重抜根に変えて、公共的に安全であり作業の危険度も少なく、施工中に対外的な粉争や障害もあまりなく、しかも容易に大規模施工が可能であって工事費も比較的廉価なものと云う一般的な条件に加えて、地区内の土質や作業条件から勘案して、昭和41年度に全油圧式ショベルO&Kによる引き抜き抜根工法の試験施工を行なって一応の成果を得たが、この主なる目的として、①地味の活用を図るため表土の持出しを最小限度に抑える、②排根線潰地の減少による耕地の高率使用、③表土保持に関連した石礫露出の予防、④次段階の耕起、暗渠等作業に支障を来たす圃場のヘドロ化防止、⑤同一機械による各作業の連続施工等であり、耕地造成後の効果の増大と関連作業工程の能率確保を狙つたものである。42年度に於いてトマム地区耕地造成予定面積1,743haの内、88haを抜根→暗渠排水→排根→耕起砕土→土壌改良の順で仕上げた。又このほか215haを翌年度の準備開墾として抜根のみ行なって冬期間の寒気にさらし付着土の脱落効果の増大を期待して居る。重粘土や泥炭地の野地坊主の群生している過湿な原野及び樹林地帯で大規模に本工法を実施した結果、ほぼ所期の目的を達成し得る状況となったので、ここに抜根と排根とに分離した形態の工法として計画内容と工事実態について、とりまとめて報告する次第である。 |