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 屋根・外壁の雨仕舞い設計の問題-雨もりとその考察について-

作成年度 1969年度
論文名 屋根・外壁の雨仕舞い設計の問題-雨もりとその考察について-
論文名(和訳)
論文副題 昭和43年度(92)
発表会 昭和43年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和43年度技術研究発表会
発表年月日 1969/12/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
鈴木岩雄
抄録
建物が雨露をしのぐための器として考え出されたものである以上、その目的に反する雨もりの発生は許されるべきでないが、現段階では相当数発生している。官庁建物の完成施設事後調査集計表(昭和43年12月)の統計によれば、屋上防水のみのクレームは42年度88件、屋根およびといを含めると114件にのぼり、発生件数順位は内装の253件に次いで4位となっている。この順位は過去3年間ほとんど変わっていない。雨もりの原因には2つの種類があり、その1つは亀裂を含む間隙で、他の1つは浸透である。一般的には浸透が少なく、毛管現象を含む間隙によるものが多いのである。これらのことはきわめて常識的に判断され、設計の過程において十分検討されていることであり、施工においても重点監理要点の1つにあげられているものである。しかし、現実に数多くの漏水が発生していることを考える時、どこかに重大な欠陥があるものと解さざるを得ないのである。紙の上に水を垂らしても早く流し切ってしまうと漏ることはない。しかし、コンクリートの水槽に水を入れ、蒸発させずに圧力を加えると、厚さにもよるが漏ることがある。漏水を防止する原則的手段はその部分から早く水を流しきることであると考えられる。建築は多種の材料の接着・組立てによって形成されるものであり、異質材の物理的接着にはそれぞれの部材固有の性質を認識しなければならないのである。しかし、例えば鉄とかコンクリート、あるいは木材などは比較的身近にあり、使い方に馴れがあるため、案外特性の認識が浅いのではないだろうか。もしそうだとすれば、それらを主材とする現在の建築フォームからクレーム発生と言うことを見つめるとき設計にも施工にも問題があると思考されるのである。特に最近はデザインが先行して部材を選定し、雨仕舞いについては既往のデテール以外に意を用ちないという声を耳にする。また、複雑な表現、あるいは作業性の良くない納まりなど、設計図や施工図で表現できても実際作業する段階で困難性がともなうことがしばしばある。このほか、雨仕舞いは3次元機構であることの認識不足も多分にあると考えられる。以上述べたようなこと以外にも多くの雨仕舞いの盲点的事項があると思考されるが、雨もりの原因はすでに常識的判断事項でありながら改善対策が今一歩不足の感があるのではないだろうか。この調査はそうした意味を多分に含み、昭和36年から進めてきたもので、同類を合せ約50件となっている。それぞれの事例を見ると、設計における雨仕舞いの仮定の誤り、施工における注意力や確認の不備および慣例的手法を安易に使用したと考えられるものなどが比較的多く、もっと雨仕舞いを大切にするならば未然に防止できたのではないかと判断されるものがいくつかある。次に述べる事項は同類を整理し、まとめたもので、漏水の現況、原因、対策、考察の4項について記載したものである。
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