留萌港における港湾施設の現況は、南北両防波堤により形ちづくられる港口の巾員は472mと広く、秋から冬にかけての激浪は港内に侵入し、そのエネルギーは内港の奥深く到達し、港内の静穏を充分保持することはできない。ここに南北両防波堤の延長による港内静穏の確保という問題が検討されその配置に関して種々の案が考えられた。有効な防波堤配置を比較検討するため、昭和37年に北大工学部および土木試験所港湾研究室に依頼し、模型実験を行なった。(その結果は土木試験所月報第127号(昭39.1)で報告されている)この模型実験は本港において最も強烈であるW波についてのみ行ったがその結果、現在の防波堤配置では港口から侵入した回析波の1部が留萌川河口の導流堤によって反射され、この反射波が南防波堤に進み、ここで再反射されて内港入口附近へ向う。この2次反射波と導流堤からの1次反射波とが、内港入口附近で衝突し合成され、相当高い波の出現することが明らかとなった。このことから、港口からの回析波をできるだけ有効に遮断するよう防波堤を配置することが必要であり、南防波堤を延長して、港内の静穏域を広げ、北防波堤の延長により港口の巾員を狭めて回析波の侵入の減少を計るものである。なお、北防波堤については、北寄りの波の侵入をも減少させることは勿論である。しかし、両防波堤の配置について最終的な結論がでなかったが、39年7月、留萌港技術顧問嶋野貞三博士により、南防波堤は既設部法線から40度沖側へ向け300m、北防波堤は既設部法線上200m延長する案が出され、昭和40年7月、港湾審議会第25回部会において正式に決定された。この決定にもとずき、まず南防波堤は40年度に着工され、工事は順調に進み、43年度までに130m完成した。一方、北防波堤は43年度着工する計画のもとに各種調査および設計を行ったので以下これについて述べる。 |