水中における発破は陸上に比べ実施例の発表が少なく、最小抵抗線、孔間隔、穿孔長、穿孔径、薬径、装薬量の決定は殆どが経験のみによって行なわれてきた。内外の文献についても具体的な記述、説明は殆どない。水中発破は陸上の発破に対していろいろの問題点を有するが、装薬量の算出にあたっては特に水圧下における爆力の低下が問題となる。すなわち通常のダイナマイトは浸水や吸湿がなくとも水圧下においては爆力が急速に低下し、新桐についていえば水深10mで爆速は半分以下になるという事実である。この爆速低下は直接に発破計画に影響してくるものであって、陸上に比べて最小抵抗線、孔間隔を縮め、余猶穿孔長を長くし、装薬量を多くし、破砕度を高める場合は更に薬量を多くし、最小抵抗線を小にするなどの配慮が必要になってくるわけである。以上のような問題点に対し、42年度から43年度にわたって、道内の数港において漏斗孔試験を実施し、また1部の港でベンチカット試験、もしくは試験工事区域を設けて破砕試験工事を行なった。今回はこのうち漏斗孔試験結果の一部についてハウザー、村田、日野の各式による検討と、特に日野理論による若干の考察を加えたものについて、(その1)として報告する。 |