近年、土木工事の大型化に伴い、大規模な切土が行なわれるとともに、切土ノリ面保護工も盛んに行なわれるようになってきた。現在、岩および硬質風化岩を除く、一般土砂に対するノリ面保護工として、いろいろな植生工法が開発されてきているが、それぞれの土質や環境条件に応じた適用基準はいまだに確立されていない状態にある。土木試験所土質研究室では、昭和39年度より、この問題をとりあげ、2、3の現場に試験工区を設け、植生工の土質別の適応性、施工適期、施工能率などについて継続して調査検討を行なうとともに、各開発建設部で施工した切土ノリ面保護工法の資料を集計検討してきた。その結果、一般土砂ノリ面のうち損傷率の比較的高い土質は、火山灰土および砂質土のような、非粘性土であることが判った。これらの損傷率の高い火山灰土および砂質土ノリ面に対して適切であるとともに、北海道特有の積雪寒冷地における凍害や、積雪クリープなどによるノリ面損害等に対しても有効な植生によるノリ面保護工法を見いだすことを目的として、この試験工事を計画し、一般国道36号清田地内(火山灰土ノリ面)および、一般国道232号初山別地内(砂質ノリ面)を選定し、試験工区を設けた。 |