水文諸量の時系列に週期成分とくに長期的変動成分がどの程度含まれ、かつ、これらがどの程度卓越しているかということは、諸般の水工計画上重要な問題である。こうした長期変動の問題については、これまでにもかなりの人によって、種々の観点より、扱われてきている。近年の水工計画では、治水、利水の別、規模の大小の別なく、確率水分量の概念が広く利用されているが、水文諸量の系列に長期的変動が存在するものとすれば、その卓越度および水工の種別、規模の大小に応じた、より合理的な計画が考えられるはずである。本論文はこうした観点より出発したものであり、ここでは1昨年の第1報、昨年の第2報に引続き、第3報として、特に次のことについて考察したものである。1)道内主要地点の年降雨量、年最大日雨量等について、有意な週期を使つて、週期成分を計算し、原系列と対比した。2)偶然変動成分(ランダム成分)の分布を調べ、数地点について、ある超過確率に対応する限界値を計算して、その頻度を調べた。3)道内を三地方に分け、それぞれ流域平均年降雨量について週期の有無を調べた。4)確率雨量について、若干の考察を加えた。5)河川計画の一資料としてt回確率雨量(例えば1年に2回とか5回生起する雨量)を計算した。 |