近年、長尺ものの既成グイの普及や場所打ちグイの技術の発達と相まって、構造物基礎にクイ型式が多く採用されるようになった。これらのクイ頭部は構造物本体、あるいはフーチングに定着されることが構造物の安定上重要な条件となる。現在、クイ頭部の定着に関しては、昭和39年に道路協会から発行された道路橋下部構造設計指針がある。これによると、「クイとフーチング」の結合部は結合部に生ずる各種応力に対して安全に設計しなければならない」と規定してあるが、その具体的方法は示していない。また、北海道開発局では昭和41年度の橋梁関係設計要領に「クイとフーチングの結合部は、ヒンヂ構造とするか、または剛結構造とするのを原則とする」とし、剛結構造とする場合は、クイ頭の埋込み長さをクイ径の1.5倍とすると規定した。しかし、実際にヒンヂ構造を採用した施工例がほとんどないため、44年度においては剛結構造を原則とするよう改め、その具体的方法として、2つの標準型式を定めた。すなわち、埋込み長さをクイ径の1.5倍とするものと、フーチング底面の配筋を容易にするため、埋込み長さをクイ径に関係なく15cmとし、クイ頭部にアンガー鉄筋を溶接して定着するものとの2方法である。定着方法はこの他にも種々考えられるが、どのような方法が最も効果があるかは明らかでない。現在、現場では、上記の2型式のいづれかを採用しているわけであるが、この問題を解明するためには、フーチングに定着されたクイ頭にどのような応力が生じているかを知る必要がある。すなわち、構造物に外力が作用した時の、クイ頭部に生ずる応力状態を2型式について比較検討することによって、クイとフーチングの合理的な定着方法を見出す目安すを得ようとするものである。本研究の取りまとめには2~3年間を予定しているが、本年はその初年度にあたり、調査研究も緒についたばかりで十分な検討をするのに必要な資料の収集ができなかった。よって、本文では調査概要を報告するとともに集まった調査資料に対し中間的な考察を加えることとした。 |