クイ基礎の支持機構については、未解明な点が多く、いままでに数多くの現場試験が実施され検討されてきた。とりわけ、水平方向の支持機構に関しては、クイ基礎の欠点が他の基礎型式に比較して水平抵抗があまり期待できない点があること、また、クイの水平荷重試験は、割合手軽にできることなどにより検討機会も多い。しかし、それらの検討内容の多くは、実構造物の場合とはかなり隔りのある特定の過重条件のもとでなされたクイ試験結果に対するものであり、構造物が完成し長期持続過重が作用した場合にそれらの検討内容がそのまま適合するかどうか疑問のあるところである。とくに、軟弱地盤上に築造される橋台などは、背面盛土による長期持続水平過重のほかに、橋台背面の基盤が、盛土過重により沈下および側方に変位するためその影響を受け複雑な挙動を示すことが推測される。このため、今年度から、大曲クイ試験場において昨年度まで実施してきたものと同種の群グイの水平抵抗に関する試験を行なうとともに、橋台の背面に盛土による長期持続水平荷重を作用させ、橋台および基礎グイの挙動をその基盤土質との関連において調べることとした。本報告は、今年度、大曲クイ試験場において実施した郡グイの水平荷重試験についての実施概要と、橋台の背面に施工した盛土が橋台および基礎グイの挙動に与える影響について調査した結果について述べたものである。 |