近年、コンクリート打設におけるコンクリートポンプ工法の使用例の増加は著しいものがあり、その全体打設量に占める割合は、43年度の東京都内の例で61%、159万m3に達している。本道ではまだまだ普及の程度は低いが、労務費高騰の折から既に打設コストが、タワーカート式の場合と逆転していることもあり、又更に工期短縮も見込まれることから急速に増大することが予想される。コンクリートポンプ工法は周知の通り、昭和40年に導入されその後急速に伸びたものであるが、機械工学で開発したものを建築は受動的に取り入れたにすぎず、そのメカニズム、コンクリートの性状変化、現場の対応等未解決な問題も多い。これを我々施工管理の立場からみると、管理上の問題として、1)テストピースの採取は打設コンクリートの同一の条件でなされるべきであるが、それはアジデータの出口でも、ポンプ車から導管を通つた打込箇所でもよいのか。2)圧送限界との関係からポンプ用の調合がなされるが、軟練り、富調合、細骨材率大のコンクリートはひび割れを起しやすいがその対策及び実害。3)打込みは往々にして片押しでなされるが、型枠の傾斜、緊結材の破壊等に対する処置。4)カート式に比して打上げ速度が大きく、コンクリートが十分にセットされない危険性がある。5)4)の理由から側圧が非常に大きく、ほぼコンクリート液体圧(比重2.3)に等しい圧力がかゝることが報告されているが、型枠及び緊結材の強度と打上げ可能な高さのチエツク。6)一般にカート足場を設けないが配筋の乱れを如何に防ぐか。7)閉塞事故が発生した場合の対処。などが上げられ、これら諸問題に対処する監督要領の作製も急がれよう。今回は特に1)の性状変化を取り上げたが、この問題に関しては過去諸覧よりいくつかの報告がなされており、いまさら此処で取上げる必要がないと思われるが、我々の身近な処に報告資料がなくそれらの集大成の意味と、北海道における報告例がないことからそれを補う意味との2点から敢えてこここに取上げた次第である。 |