近年港湾基模の大型化に伴い、外かく施設の拡張が進められ、防波堤は屈曲部(隅角部)を設けながら外海に延長する場合が多くなっている。そしてこの部分の安定計算には直線部と同一の設計波または波圧公式が用いられている。しかし屈曲部付近に波が侵入した場合、波力、遡上高、越波量などは当然増大することが予想され、実際に防波堤の被災個所をみても、直線部に比べこの部分の被災例が非常に多い。このことは、屈曲部が直線部と同一視され、特別の考慮が払われていない現在の設計法そのものに問題があることを示す。したがって屈曲部の設計法の確立は従来から設計者の強い要請となっていた問題であるが、この部分の波は減少が非常に複雑で、理論的、実験的取り扱いが困難であるため、その研究例は極めて少ない。わずかに重複波領域にある波を対象とした波高分布に関する研究がある程度で、砕波については波高、波力などその変形機構については全くわかつていないのが現状である。当研究室では現地の強い要請もあり、この問題の究明に着手したが、44年度は第一段階として重複波を対象とし、防波堤屈曲部に波が左右対称に入射する場合について波高、波圧の横方向分布、および鉛直方向分布を測定した。実験は継続中で、今後条件を種々変えて行なう予定であるが、ここではこれまでの実験から明らかとなったことを第一報として報告する。 |